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2012-10-23

上木彩矢さん インタビュー 後編

『今はRENTを最高のステージにしようぜ!って、その想いだけです』

ー10月初旬の上木さんのブログに、お稽古の最中、エンジェル(ストリートドラマー、ドラッグ・クイーン、HIV陽性者)に対するみんなの想いが伝わってきて胸にグッときた、という内容の記事がありましたが、上木さんの中でそれまでとは違う心の動きがあったんでしょうか。

「はい。あるシーンの稽古前にみんなで円を組んで座って、アンディからいろんなお話をしてもらって、みんなの心をひとつに統一するということをやったんですが、なんていうんでしょう。頭で考えるより先に、目頭がく~っと熱くなって、涙が出てきて……。自分でもびっくりしました」

ーお稽古も佳境に入っていると思いますが、毎日それほど激しく感情を揺さぶられていたら、気持ちの切り替えもたいへんですね。

「メンタル面はやばいですね。だからこそ、みんなでご飯食べたり、飲みにいったりするんです。9時ぐらいに終わっても、『疲れたね。でもこのまま帰っても眠れないな』っていうぐらい、みんな気持ちが入り込んだままなので、『ビール一杯飲んでく?』みたいな感じになるんですね。で、飲んで、『なんか元気出てきた、明日もがんばろうね』って」

ーみなさんのRENTに対する熱い想いが伝わってくるエピソードですね。

「ですね~。メンバーはもちろん、とにかく今の私はRENTに生きているので、次のこととか、2013年のことなんて考えられない。今はRENTを最高のステージにしようぜ!って、その想いだけですね」

上木彩矢 RENT

『100%の力で伝えるので、100%の気持ちで受け取って欲しい』

ー2012年の『RENT』は、オリジナル版の演出を手掛けたマイケル・グライフ氏による新演出だとお聞きしました。もちろん全編通して見どころ満載だと思いますが、上木さんおすすめのシーンがあったら教えてください。

「『Over The Moon』(モーリーン歌唱)って言いたいところなんですけど。それはもちろんのことであって。一番最初の楽曲『Rent』(マーク、ロジャー、ジョアンヌ、コリンズ、ベニー)に注目してもらいたいです。前回(2010年)のフリとはまた違うんですけど、マジで!めちゃくちゃかっこいいです。やばいです。ポジショニングとかわかって観ていても、『かっけー!』って思えるので、みなさん、ゾワってすると思いますよ」

ーますます楽しみですね!では、最後に。観に来られる方にメッセージを。

「キャストとお客さんが一体となって、ステージって作られると思うんです。今回の会場の収容人数は600人で、公演回数が42回。観に来てくださる方にも、600×42の人生があるわけじゃないですか。そして、我々キャストにもひとりひとりそれぞれの歩んできた人生があって。うまく言えないんですけど、RENTを通して、みんなの人生がひとつになって。同じ時間を共有するすばらしさを感じて欲しい。RENTのステージと客席の間には壁がありません。私たちひとりひとりが100%以上の力で伝えて、観に来られる方が100%の気持ちで受け取ってくださる。その瞬間に生まれるケミストリーをひと公演ひと公演大切にしていきたいと思います。みんなで愛のキャッチボールをできたらいいな」

text.kimiko hayakawa
photo.toshiya suzuki

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