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2017-09-25

L friendly Company「ライフネット生命」

2015年11月、ついに日本でも、同性パートナーを死亡保険金受取人に指定できることになりました。その発表をしたのは、ライフネット生命。東京レインボープライドをはじめ、多くのLGBTsイベントにブース出展されているLGBTsフレンドリー企業です!そんなライフネット生命の川越さんに、様々な取り組みについてお話を伺ってきました。

Q:早速ですが、御社の取り組みについて聞かせてください。

発表はもう二年前になるんですが…あっという間ですね!
同性婚は日本の法律で認められていないので、基本的に保険会社は法律に準じて取り扱いをするため血のつながった家族・法律婚の人にしか死亡保険金を残せなかったんです。
色んな理由で籍を入れない方もいますので、当社は開業時から、条件によっては異性の事実婚のパートナーを受取人として認めていました。
それを、2015年11月に受取人の範囲を広げたという形なんです。LGBTsの保険を特別に作ったというわけではなく、適応範囲を広げました。ざっくり申し上げましたが、これが取り組みです。

Q:業界で一番早い取り組みでしたが、きっかけはなんだったんでしょうか。

当社は、最初からダイバーシティ(多様性)を大事にしていたんです。
「同性パートナーを指定するのは何故NGなの?」という素朴な疑問が社内でもありましたし、「何でダメなんですか?」というお客さまからの問い合わせもチラホラとあり、疑問が大きくなりました。そこが出発点です。

当社は小さいベンチャー企業なので、小さくて力の無い人たちが、大きな業界・古くからあるものと伍していくには何か強みがないといけないですし、保険業界を変えたいという思いもありました。
ネットを使って安く提供し、保険の商品もシンプルにして分かりやすく、保険料のパーセンテージも早くから開示をするなど情報開示にも力を入れ、業界に先駆けて色々やってきました。
その中で、働く人たちのダイバーシティを大切にするという事は、大きなところと戦う上ですごくパワーが出るんですね。
小さいけれども色んな人たちが刺激をし合って、違うものを理解しようとしたり受け入れたりすることでそんな見方があったんだ!って視野が広がってクリエイティビティも生まれます。
それを当社創業者の出口や現社長の岩瀬も、最初からすごく大事にしていたんです。
採用方針もそれにもとづいて色んな人を入れよう!と。闇雲にいろんな人を入れるのでは無いですよ(笑)
保険以外でのバックグラウンドの人もとても多いですし、当社にはいわゆる生保レディさんのような営業は居ないのですが、女性もすごく多いです。色んな年代の人間が居ます。
ベンチャーって若い人ばかりだったりしますが、おじさまもおばさまも居ます(笑)海外のインターンの人も居ます。
そういう中だと「同性パートナーを受取人に出来ないのはどうしてだったかな?」って疑問が浮かぶのは自然だったかもしれません。特に社内でカミングアウトしている人が居たわけでも無いんです。
ニーズがある・必要とされている事に対してどう答えようか?というのは、この例に限らずやってきたつもりです。

Q:反響はいかがでしたか?

一言で言うと、すごく良好でした!
ネガティブな声というのを、私達も考えなかったわけじゃないんですね、色んな考えを持つ方が居て、とても保守的な方もいらっしゃいます。
保険業界は、割と保守的だと私達も思ってましたので、色々言う人はいるだろうな!と思っていたのですが直接当社に寄せられた声にネガティブなものは、本当にすごく少なかったです。

とてもポジティブな声は本当に沢山頂きました。それは当事者からも、当事者じゃない方からもです。
実際ご契約者から「こういう会社の保険に入って良かった」と言っていただけました。
自分は当事者じゃないですが、って前置きしてとても長いメールをくださった方も居ました。
多様性を大事にしよう・フェアに扱いをしようって考えは程度の差はあれども、社会の合意として、たくさんの人が持っているんじゃないかと思うんです。
当事者じゃないけれど、そういう風に思ってる方々ってセクシュアルマイノリティではなくとも、何かの部分でマイノリティ(少数派)だったりするのかもしれないと思いました。

社内の反応も、とてもポジティブでした。「ニーズがあるならやるべき」という意見も元々ありましたし、この取り組みを打った時ものすごくメディアに取り上げて頂いたんですね。
それこそ当社が営業を開始した時よりも、今までの広報の活動の中で一番露出が多かったんです。
それを新聞、雑誌、SNSで見て「当社はこんなにインパクトを与えることをやっている!こういう会社で働いててよかったな」って思った社員も居ました。
「セクシュアルマイノリティは人口の約8%、しかしこの中でどのくらいの人がパートナーと暮らしていて、一体何人の人が保険に申し込んでくれるんだろう?」という意見も当然あったのですが、露出の多さ、当事者以外の方の良い反応、企業イメージを持って頂けたので、消え去りました(笑)
「保険なんて皆クチコミしてくれないよね」と思ってたんですが、結構ツイッターでシェアしてくださって、感激しました。計算できない効果が沢山ありましたね。


Q:社内のLGBTsサポートは何かありますか?

パートナーとの新婚旅行休暇、冠婚葬祭休暇などといったものは、きちんと申請すればOKっていうのはもうあります。
むしろ手厚い制度はないほうだと思うのですが、雰囲気作り、風土作りが大事だと思っています。
ダイバーシティチームの人たちが机にレインボーフラッグを立てたり、元会長や社長の机にも旗やシールがあったり。新卒向けの採用マニフェストにも、性的指向・性表現も不問と明記されていて、履歴書にも性別は書かなくてよいです。
新卒自体も、30歳未満の未就業者。30歳未満ならどなたでも、という方針です。LGBT採用枠みたいなものはありません。保険の話もそうですが、特別扱いがしたいのではなく、皆に公平にしたいという思いが形になっているということです。

Q:当事者と実際に関わることで、変わった印象や意識などはありましたか?

昔からの友人に当事者が居ますので、見方は特に変わらなかったですね。
当社で取り組みを始める際に、多くの本を読んだり、たくさんの当事者の方と会ったり、弁護士や医師、社労士といった専門家をはじめ、カミングアウトしている人にもそうでない人にも、多くの当事者とお会いしてお話したんです。
「絶対に言わないでください」って条件付きでお話してくださる方も沢山居ました。
やはり「乗り越えて前に出られる人たち」にはたくさんの苦労されていると思います。
でもそこまで行けずに悩んでる方、別にそこに行きたくない、そうなりたいわけじゃない、ひっそり生きていきたい、っていう方々も居てそういう方もたくさんいるんだ!ということに気付けたんです。
ライフネットに、いいね!って言ってくださる方々も、表立って言ってくださる方もいれば、こっそりイイネを押してくださる方もいる。
こっそりイイネも押せない方もいる。そんな色んな考えの方々が居るんだ、という気付きはありました。
興味と言ったら失礼ですが「分かりたい、近づきたい」という思いがあったので、改めて非常に濃密な一大プロジェクトでした。

Q:実際にTRPなどのイベントに参加されてのご感想を聞かせてください。

個人的な感想ですが、今年、私はレインボーフォトプロジェクトのカメラマンを担当しまして、ファインダーを覗いて撮るときになんだかすごく、じーんとしたんです。
ここに来てくれている方々は普段は当事者であることを隠しているかもしれない。この会場に来ることも最初はすごく勇気がいる事かもしれないし、その上でさらに写真に写るなんてものすごい勇気がいるかもしれない!
もう全部乗り越えた人も沢山居るんでしょうけど、でも最初はそうじゃなかったはずだから、この方々はどれだけ苦労してここに辿りついたのかな、と思うとファインダー越しにちょっと泣けてしまいました。

**「レインボーフォトプロジェクト」とは、LGBT関連イベントでライフネット生命が出展するフォトブースで写真撮影いただくと、写真1枚あたり100円を活動資金としてライフネット生命が積み立て、その資金を元に、ライフネット生命の取り組みが事例として掲載されているLGBT児童書「もっと知りたい!話したい!セクシュアルマイノリティ ありのままのきみがいい」(日高庸晴著)を購入し、全国各地の図書館に寄贈する活動です。
(出典 http://www.lifenet-seimei.co.jp/newsrelease/2016/6489.html)

この「レインボーフォトプロジェクト」は子ども向けの本を図書館に寄付しています。私自身、小さい頃に親の転勤で3、4回転校したことがありまして、すごく田舎というか、保守的な土地に引っ越したことがあったんです。もう転校生というだけで、違う人だ、標準語だ…!って(笑)
いじめまで行かないんですが、あまり受け入れてもらえない感じだったんです。
先日人事向けのダイバーシティを取り上げるイベントがあったのですが、その時の当社のテーマを「誰もが何かのマイノリティ」にしたんです。
私はたまたま、転校生というマイノリティの立場になり、すごくしんどかった経験があったんですが、たとえば小さい頃からセクシュアルマイノリティの存在についてきちんと教えてもらえたら、偏見なく接するようになるって人も沢山居ると思うんですね。
人の立場に立てる・痛みが分かる・そういう共感ができる・・・自分と同じ部分ではなくとも「マイノリティである」ということが痛みとして感じられる人。そういう人が増えればいいな、と思います。

Q:レインボーフォトプロジェクトを始めた理由、反響を教えてください。

「子どもが救われないと誰も救われない」っていう考えがあったんです。しかし予算も人手も無い限られたリソースの中で、何が出来るか?とダイバーシティチームで発案しました。
日本の人口の約8%はセクシュアルマイノリティで、本当にすぐ近くに居るんですよね。小さい頃に「自分は絶対レズビアンだ!」って思う人も居るかもしれないけれど、「男性に興味持てないし分からない。私は何なんだ?」って人も居ますよね。気付くまでに、すごく時間がかかる方も沢山居ると思うんです。
分からなくて混沌としている時に「探してていいんですよ、すぐに分からない人もいるんですよ」位に淡々と教えてもらえたら「そうなのか!」って思うのではないかと。それは異性愛者もそうだと思うんです。年頃になっても男性に興味ない子も居るかもしれない、思春期の子みんながみんな恋愛をするわけじゃないですもんね。そういう教育を、していけたらいいんじゃないかと思うんです。

反響としましては、これも取り上げていただけるとは思ってなかったのですが、2016年のwork with prideで、ゴールドの中でもベストプラクティスを頂きました
当社も指標検討に参加していましたし、日本の中でも保険会社としては進んでる取り組みはしていると自負があったのでエントリーをしたら、選ばれてしまって!(笑)
本当に名だたる大企業の中から、ライフネットを選んで頂いて本当にびっくりしました。嬉しかったですね!

実は寄付先を見つけるのって結構大変なんです。公立の図書館や学校などは簡単に寄付を受け入れてはいけないところもあるようです。確かに営利目的や政治的利用など色々ありますので、簡単には受入れられないですよね。でも、最近は先方から声をかけてもらえるようになってきたんです!
こういうものも、地道にやっていると良いことがあるんだなと思いました。この取り組みは当分続けていきたいですね。

Q:LGBTs当事者、特に若い当事者へのメッセージをお願いします!

私は当事者ではないので言えることはあまり無いんですけれど、しんどくて悩んでいて、終わりが無いこの辛さ!って今思っていたとしても、変わらない事なんて、無いよとお伝えしたいです。
自分で状況を変えていける人も居るけれど、ただ待ってるだけでも何かの刺激で見方が変わるとか、こういう人がいるんだ!っていう出会いや人との関わりの中、社会の中で何かに気付いたり、自分があまり頑張らなくても、何かが変えてくれて環境が変わっていくことも、あると思うんです。
「何かをしないと絶対対価を得られない!」とは思わなくて良いんじゃないかなって思います。

ライフネット生命としてのメッセージとしては、ダイバーシティって当然ながらLGBTsだけではないので、他のマイノリティに対しても公平なサービスを引き続き考えていきたいです。

ご自分が今、事実婚状態であっても無くても、保険など検討していなくても、こういう保険会社がこんな取り組みを始めたこと自体が、社会の変化を感じていただけるかもしれませんし、今入っていただけなくても、保険を考えた時には思い出してもらえたら!
それは当事者以外でも「こういう取り組みをしている会社だったら考えてもいいかな」と思っていただけたら、嬉しいですね!

終始笑顔で、柔らかで真摯な想いと温かいメッセージをお話くださいました。

ライフネット生命の社内にはところどころにレインボーフラッグがはためいて、レインボーフォトプロジェクトの写真も、とても綺麗に飾られていました。
「自分を偽る必要が無い」明るい雰囲気に、何とも嬉しい気持ちになりました。川越さん、本当にありがとうございました!

マスコットキャラクター・ラネットくんが大活躍のInstagramも是非チェックしてみてくださいね♪
https://www.instagram.com/lifenet_official/



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